通報を迷ったときに考えたい5つのポイント

【医師解説】虐待かもしれない…通報を迷ったときに考えたい5つのポイント

「通報しすぎが怖い社会」より、「誰も声を上げられない社会」のほうが危険かもしれません。

要点
  • 虐待通報は「虐待だと断定できるか」ではなく、「安全が心配か」という視点が大切です
  • 医療者でも判断に迷うことは多く、一人で抱え込まず相談することが重要です
  • 「もし間違っていたら」だけでなく、「もし本当に危険だったら」という視点も必要になります
  • 通報の目的は処罰ではなく安全確保であり、支援や介入につながる場合もあります

こんにちは、ゆうメンタルクリニック医師の森しほです。

巨人、阿部監督逮捕の波紋 児相・警察の対応は妥当か過剰か 通報躊躇の懸念とAIの死角
https://www.sankei.com/article/20260526-OZFF5RFHHFIBPO4QHUEWLGKEWU/

こちらのニュース、大きな報道となっていて、SNSでもさまざまな意見がありますね。

医療機関としても、虐待を疑うケースに出会うことはしばしばありますが、判断に迷うケースも少なくありません。

身近な方が虐待をしているあるいは虐待を受けているかもしれない、と通報を迷っている方に伝えたいことをまとめました。

1. 「虐待だと断定できるか」ではなく「安全が心配か」で考える

通報をためらう方の多くが、「証拠がない」「勘違いだったらどうしよう」と悩みます。
しかし、通報は裁判ではありません。

まずは「この人の安全が心配だ」と感じるかどうかが出発点です。
事実関係の詳細な調査は、児童相談所や警察などの役割です。

2. 一人で抱え込まない

虐待が疑われるケースは、誰でも判断に迷います。

仕事の関係で触れたケースで虐待が疑われるなら同僚や上司に相談しましょう。

近所の方であれば、地域の相談窓口などに相談しましょう。

第三者の視点が入ることで、状況を整理しやすくなります。

3. 「もし違ったら」だけでなく「もし本当だったら」も考える

人は誤通報のリスクを大きく感じがちです。
しかし、通報しなかった結果、被害が続く可能性もあります。

迷ったときは、両方のリスクを比較して考えてみることが大切です。

4. 通報は罰を与えるためではない

通報すると「相手の人生を壊してしまうのでは」と苦しくなる方もいます。
しかし、通報の目的は処罰ではなく安全確保です。

支援や介入につながることで、被害者だけでなく加害者側の問題が明らかになり、適切な支援につながることもあります。

5. 完璧な判断を求めすぎない

後から振り返れば、「もっとこうすればよかった」と思うことはあります。
しかし、その時点で得られた情報の中で、目の前の人の安全を考えて行動したのであれば、その判断には意味があります。

虐待対応において大切なのは、完璧な正解を当てることではなく、見過ごさないことです。

虐待や暴力のサインに気づいた人が「責任を負わされたくない」と声を上げられなくなることの方が、社会にとって大きなリスク。

迷ったときは、「誰が悪いか」よりも「誰の安全を守るべきか」という視点を大切にしていただければと思います。

当院では、医師による診察だけでなく、心理士によるカウンセリングも行っています。
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